経口胆汁酸による胆汁脂質構成および胆汁中コレステロール飽和度の変化に関する研究 : 完全外胆道瘻患者を対象とした肝胆汁分析
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概要
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chenodeoxycholic acid, ursodeoxycholic acidの胆石溶解作用機序の一端を解明するため完全外胆道瘻造設患者に重水素標識の両胆汁酸とglycocholic acidを経口投与し,その後の肝胆汁試料を分析して,これらの胆汁酸が肝を一回通過する事による胆汁脂質構成および胆汁中コレステロール飽和度の変化について検討した.その結果,(1)経口投与された胆汁酸100mgは速やかに腸管から吸収され,6時間迄にほぼ全量が肝胆汁中に排泄される.(2) chenodeoxycholic acidおよびursodeoxycholic acidは胆汁中コレステロール濃度とモル%を有意に減少させ,リン脂質濃度ないし総胆汁酸濃度の増加と相まってコレステロール飽和度を改善するが,glycocholic acidについては以上の変化が出現しない.(3)胆汁中コレステロール飽和度の変化は胆汁中胆汁酸構成の変化に伴って出現する.以上の事実をもとに胆石溶解に不可欠な胆汁中コレステロール飽和度の改善は,chenodeoxycholic acid, ursodeoxycholic acidが腸管から吸収され,肝を一回通過するだけでも発現することをin vivoにより直接証明するものである.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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