閉塞性黄疸減黄術後における血清ビリルビン分画の変動 : 特に抱合型ビリルビン及びδビリルビン測定の意義について
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概要
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雑種成犬を用い,胆嚢摘除・総胆管結紮切離を行って閉塞性黄疸を作成し,或はこれに胆道感染を加えた後,総胆管十二指腸吻合により黄疸の軽減を図り,或はこれに70%肝切除を加えて,ビリルビン代謝の面から黄疸遷延の病態を検討した.胆道閉塞期間の長いものや胆管炎併発例では減黄術後黄疸が遷延するものが多かった.これには血清中δビリルビン/直接型ビリルビン(δ. Bil/D. Bil)が上昇するものと抱合型ビリルビン(C. Bil)が減少率の不良のものとがあり,前者の予後は良好であったが,後者は不良で肝不全で死亡するものが多かった.肝切除を併施するとこれらに間接型ビリルビン(I. Bil)の上昇が加わって黄疸が遷延するが,I. BilやC. Bilの減少率が不良のものは予後不良であった.<BR>以上,閉塞性黄疸減黄術後の黄疸遷延の病態と予後を把握する上で,C. Bilやδ. Bilなどの血清ビリルビン分画を測定することの重要性が指摘された.