出血ショック下肝切除限界の検討 : 特に動脈出血と門脈出血の対比について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
出血ショック下の肝切除限界やショック後の肝機能の変化を知る目的で本研究を行った.すなわち雑種成犬を用い股動脈又は門脈より急速間歇脱血を行ってショック(最高血圧70mmHg以下)又はプレショック状態(最高血圧90〜100mmHg)を作成し,直ちに還血する群,ショック又はプレショック状態を15分及び30分持続後還血する群に分け夫々に40%肝切除を行い,術後の生存率や肝機能の変動を検索した.4週以上の長期生存可能限界は股動脈脱血のみではショック持続15分以内,門脈脱血のみではショック直後,又はプレショック持続15分以内であった.これに肝切除を加えると股動脈脱血群ではショック直後の40%肝切除が限界と考えられたが,門脈脱血群ではショック直後の40%肝切除にも耐えず,プレショック直後の40%肝切除が限界と考えられた.ICG Rmaxやglucagon負荷c-AMP試験は股動脈脱血群に比し門脈脱血群の方が有意(p<0.005)に低く,かつこれらの成績はその予後とよく相関していた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文