経口避妊薬,合成女性ホルモンによる実験的肝癌発生の研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
経口避妊薬の肝における発癌性を検索する目的で以下の研究を行った.生後4週齢Wistar系雌性ラットに無麻酔下で胃ゾンデを用い強制的に次のような薬剤を経口投与した.1群:ethinylestradiol 0.075mg+norethindrone acetate 6mg in 0.5ml olive oil,毎日1年間,2群:同量毎日1.5年間,3群:倍量毎日1年間,4群・5群:対照としてolive oilのみ0.5mlまたは1.0ml毎日1年間.合成女性ホルモンを投与した1群で1/18 (5.6%)および倍量投与の3群では4/19 (21.1%)に肝腫瘍の発生を認め,組織学的に高分化型肝細胞癌であった.また,合成女性ホルモンを投与した1・2・3群の全例の肝に過形成結節が多発しており,投与期間あるいは投与量の多い2・3群では1群にくらべ有意(p<0.05)にその発生頻度が増加した.肝以外に腫瘍性病変は認められなかった.対照群では肝にも腫瘍性病変の発生は認められなかった.以上より合成女性ホルモンは肝癌発生のinitiatorになり得ることが指摘された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文