特発性門脈圧亢進症と慢性肝炎との関係 : 末梢門脈域における血管成分の組織計測的研究
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概要
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特発性門脈圧亢進症(IPH)の病因論は従来より種々なものが挙げられているが,われわれはその病因として慢性肝炎を提唱してきた.IPHと慢性肝炎に於けるグ鞘変化の相違は質的なものでなく,あくまでも障害の量的な差であるとみなしている.末梢門脈域における肝動脈,門脈の内腔面積をIPH,慢性肝炎,正常肝のそれぞれについて求めた.門脈・肝動脈面積比の平均値は,正常,慢性肝炎,IPHの順に小さくなっており,有意差を認めた.このことからIPHのみならず慢性肝炎においても末梢門脈枝の狭小化があることが明らかになった.IPHと慢性肝炎はその門脈域の変化が組織学的に類似し,その相互に移行があるのみでなく,門脈枝の変化が計測した数量的にも近似していることが判明した.これはIPHの成因として慢性肝炎の重要性を示したものと言えよう.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文