非B型輸血後肝炎における血中免疫複合体の動き
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
非B型輸血後肝炎17例を中心に血中免疫複合体(CIC)を測定し,病因的意義を検討した.CICは血小板凝集法で測定し,血清アミノトランスフェラーゼ(ALT)値の動きと比較検討した.CICは17例全例にその連続検体中に1回以上検出され,延べ310検体中168検体(54%)と高率に検出された.又,CICとALTの動きの関係から,3類型に大別できた。第I型(CIC先行型)は10例,20のエピソードがあり,第II型(CICとALT一致型)は2例あり,第III型(CIC遅延型)は7例あった.第III型でのCICは肝機能が正常化しても持続して検出されるが,この型は主として予後良好の症例に多く,抗体産生が比較的豊かになされているが,逆に抗体は発症後6ヵ月以上経過しても単独では存在しないと考えられる.第I型・第II型はむしろ遷延化・慢性化する症例に多く,CICは一過性に検出されるのみで,抗体産生が不充分な事を示唆させる.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文