同所性肝膵十二指腸同時移植におけるアミノ酸代謝の研究
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概要
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犬を用い,同所性全肝・全膵十二指腸同時移植(I群)及び全肝(II群)或は全膵十二指腸(III群)移植後のアミノ酸代謝の変化を検索した.<BR>3群とも血流再開後6時間以内の早期と拒絶反応が出現する5日目以降の後期に血清アミノ酸値の著明な変動が認められた.すなわち術後早期ではI群の血清アミノ酸値はBCAAを除きII群と同様に異常値を示したが,後期ではI群の値はII, III群の中間で推移しており,I群の拒絶反応がII, III群に比し軽度であるという成績と一致していた.血清アミノ酸値と肝膵機能との関係をみると,AAAはAKBRとBCAAは血清IRI値と夫々負の相関を示し,また犠牲剖検時のBCAAの大腿動静脈較差は血清IRI値と正の相関を示した.<BR>肝膵十二指腸同時移植後のアミノ酸代謝の変動は,早期では移植片のviabilityに,後期では肝・膵の拒絶反応の程度に依存して,アミノ酸代謝は肝膵機能と良く相関して変動しており,特にインスリンは末梢組織でのBCAAの代謝に密接に関与していることが示された.