C型肝炎ウイルスの家族内感染に関する検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
HCVの家族内感染の実態を明らかにするため104家系の270名の家族構成員につきC100-3抗体,HCV core抗体を測定した,HCV関連抗体陽性者についてはHCV RNAを検索し“HCVキャリア”と“HCV感染既往者”に分類し,HCVキャリアについては発端者とのHCV genotypeの異同を検討した.その結果270名中50名(18.5%)にHCV関連抗体が検出され,一般献血者(0.81%)に比しはるかに高率であった.50名中32名はHCVキャリアであり,18名はHCV感染既往者であった.家族関係では,同胞(26.9%),配偶者(23.1%)が児(12.4%)よりHCV関連抗体陽性率が高率でかつHCVキャリア率も高率であった.母児間,父児間でHCV感染率に差を認めなかった.発端者とHCV RNA陽性家族構成員のHCV genotypeは32組中26組で一致したが6組は一致しなかった.以上,性的ないし非性的なclose contactによるHCVの家族内感染は決して無視し得ない感染経路と考えられたが,家庭内以外の感染経路にも配慮が必要と思われた.