肝疾患の死因ならびに予後に関する研究
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概要
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各種肝疾患の予後と死因について検討した.対象症例は腹腔鏡と肝生検を併用し診断後長期間予後が追求できた1,471例と腹腔鏡検査非施行の非代償性肝硬変65例である.10年後の累積生存率は急性肝炎95.9%, chronic persistent hepatitis (CPH) 94.7%, chronic aggressive hepatitis activity moderate (CAH-2A) 91.1%, chronic aggressive hepatitis activity severe (CAH-2B) 89.1%,肝硬変49.0%であった.CAH-2Bでは10年以後急に死亡率が増加し,肝硬変の初期の生存曲線と平行になり,約10年で肝硬変に移行すると推測した.腹腔鏡施行の肝硬変の50%生存期間は9.8年であり,非代償性肝硬変では2.1ヵ月であった.肝硬変における性別,飲酒歴,ステロイド投与の影響は予後には差はなかった.直接死因に関しては,急性肝炎,CPHでは肝疾患死は少なく,CAH-2Bと肝硬変では肝疾患死の頻度が高かった.腹腔鏡番地分類では400番地の50%生存期間は10年,500番地では6.1年であった.