酵素抗体法による肝組織内HBs抗原およびHBc抗原の検索
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概要
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酵素抗体法にて肝生検組織のparaffin切片でHBs & cAgを検索した.血中HBsAg陰性例で肝内両抗原は陰性であった.B型急性肝炎(AH-B)でも陰性で,肝生検時期によると思われた.AH-Bと血中HBsAg持続陽性例(carrier)での急性肝炎との鑑別にHBs抗原の検索は有用である.HBsAgの膜型は小葉中心帯に巣状に分布し,これらでは細胞質内び漫(C)型も多く,血中HBsAg価は高かった.carrierの肝臓には封入体(I)型とC型が存在し,それらの数量と分布の均等性が肝生検での陽性率を左右する.肝硬変へ進展すると,I型は小葉内で局在性〜び漫性となり,小葉間で不均等となった.慢性肝疾患の活動群ではHBsAg陽性率は低く,HBcAg陽性率は高かった.両抗原は主にZone 1で産生され,HBVもここで増殖し,これがcarrierの急性再燃に関与していると思われる.再燃時の肝内両抗原の消長はAH-Bのそれに類似し,病期をよく表した.両抗原の分布様式からは疾患の予後や肝硬変への進展を推測できなかった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文