広範肝切除後における血糖調節機構の動的解析 : ランダム糖負荷,血糖値,インスリン値,グルカゴン値の4次元自己回帰解析
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概要
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広範肝切除後の肝再生による修復過程での血糖調節機構を血糖(B.S.),インスリン(IRI),グルカゴン(IRG)のインパルス応答の推移から検討した.雑種成犬を用い,無処置対照時,70%肝切除後1週目,3週目に以下の操作を施行した.6時間40分にわたり5分毎81回大腿動脈より採血し,B.S., IRI, IRGを測定した.この間0.04g/kgグルコースを不規則間隔で15回,インパルス様に投与した.糖負荷,B.S., IRIとIRGの4時系列から4次元自己回帰解析を施し,各インパルス応答を電算機にて求め,次の結果を得た.<BR>肝切除後1週目では,糖負荷に対する血糖のインパルス応答は,その制御面積の増大と整定時間の延長を示し,血糖制御活動の不良性を証明した.又インスリンのインパルス応答は抑制され,グルカゴンのそれは亢進した.又,内因性両ホルモンによる血糖のインパルス応答でも整定時間の延長を示した.肝切後3週目で,これら変化は対照時に近似した.