肝細胞の空胞変性の形態発生について
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概要
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肝細胞の空胞変性の形態発生を明らかにする目的で,うっ血をおこしたラット肝の光顕的および電顕的検索を行った.空胞は横隔膜直下の下大静脈を狭窄し,肝静脈圧を40mmH<SUB>2</SUB>O以上上昇させると5ないし7分以内に発生した.空胞は一層の限界膜に包まれ,血液成分ときには赤血球や血小板をいれている.空胞は類洞側肝細胞膜の陥入によって生じ,初期の段階においては空胞膜は肝細胞膜との連続性を有し,酵素組織化学的に肝細胞膜とほぼ同一の性状を示す.以上の所見より,肝細胞の空胞変性は類洞圧の急激な上昇によって生じた極端なendocytosisに他ならないと結論された.<BR>また,空胞変性は肝細胞の退行性変化ではなく,細胞外圧上昇による被害を緩和するための一種の防禦機転であろうと考えた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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