原発性胆汁性肝硬変ならびに各種胆汁うっ滞における肝細胞内銅およびオルセイン陽性顆粒状物質の形態学的研究
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概要
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原発性胆汁性肝硬変(以下PBC)の肝病変進展における肝細胞内銅沈着の役割およびナルセイン染色の診断的有用性を検討する目的で,PBCならびに各種胆汁うっ滞における肝組織標本の銅染色およびオルセイン染色をおこなった.銅染色およびオルセイン染色の染色性の比較では,銅染色陽性例はいずれもオルセイン染色陽性で解離例はなかったが,オルセイン染色の方が量的に多く観察された.肝細胞内の銅沈着はPBCで20例中16例,その他の胆汁うっ滞13例中6例,慢性肝炎・肝硬変42例中1例に認められた.PBCでの肝細胞内銅沈着は病期の進展とともに小葉周辺部の核周囲に増加してみられ,また黄疸例では全例に無黄疸例ではビリルビン以外の胆汁成分のうっ滞を来たした症例に観察された.以上よりPBCにおける肝細胞内銅沈着はビリルビン以外の胆汁成分のうっ滞を来たす早期から始まり,肝病変進展への重要な一因子であることが示唆され,早期治療が必要と思われた.また肝細胞内オルセイン陽性顆粒状物質はPBC以外の胆汁うっ滞でも認められ,PBCに特異的所見とみなすことはできなかった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文