慢性肝疾患における大腸菌抗体について
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概要
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肝硬変に見られる高γグロブリン血症の原因は明らかでないが,その一つに肝による腸管由来の抗原の不活化又は除去能の低下という説がある.肝硬変では,Kupffer細胞障害又は,門脈―大循環短絡のため,腸管より吸収された抗原は不活化をうけずに,抗体産生組織へまわり,結果として,高γグロブリン血症となるわけである.今回,我々は,腸管由来の抗原として,O抗原の異った9株の大腸菌を健康人便中より選び,間接赤血球凝集反応によって大腸菌抗体を調べ,各種肝疾患について検討した.<BR>結果,大腸菌抗体はIgMに属した.正常,慢性肝炎,肝硬変と肝障害の進行につれて,大腸菌抗体は上昇した.肝硬変をγグロブリン量で分けるとγグロブリン量の高値のものでは,大腸菌抗体の増加が見られた.