日本における HB ワクチン対策の現状と問題点
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概要
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B型肝炎ワクチンを用いたB型肝炎ウイルス (HBV) 感染予防対策は, その目的, 方法ともに世界の趨勢とかけ離れた日本固有の対策として定着している. すなわち, 世界的に見るとEPI (expanded program on immunization) に組み入れた universal vaccination で次世代の人々すべてを受動免疫状態にして母子感染, 水平感染ともに防御し, HBV感染の撲滅を目的としているのに反し, 日本ではHBVキャリアの母より出産した児にキャリア防止目的のための接種に限られている. HBワクチン接種法も世界的には生後可及的速やかに接種するのが常識になっているが, いまだ日本では生後2カ月後よりの接種である. 最近のWHO肝炎会議でも世界的 strategy に取り残され, 議論にも入れない状態である. 今世紀の半ばには universal vaccination の効果が予測通りであれば, 世界中多くの国では母子感染はもとより水平感染による劇症肝炎も撲滅されることになる. 日本だけが取り残されることなく, 世界的 strategy に沿ったHBワクチンによる予防体制へ変更しなければならない.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
- 2003-02-25
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