人工腹水注入法併用により安全に経皮的ラジオ波焼灼療法が施行できた肝左葉先端の肝細胞癌の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は61歳男性. 慢性C型肝炎にて通院中であった. 平成14年9月肝S4先端に径16mmの肝細胞癌 (HCC) を認め入院. 経皮的ラジオ波焼灼療法 (RFA) の適応と判断したが, 大変痩せていたため腹腔内脂肪が殆どなく, 腫瘍が腹壁および腸管に接していた. このためRFAにより腹壁や腸管の熱傷の危険が考えられた. そこで人工的に腹水を形成し, 腫瘍と腹壁や腸管の間に隙間を作って, 熱傷を予防する人工腹水法併用RFAを試みた. 超音波ガイド下にて21G PEIT needle を肝表面に留置し, 5% glucose を120ml注入して腫瘍と腹壁および腸管とを十分に乖離させた. 続いて17G cool-tip needle にてRFAを施行した. 術中, 術後のいずれも重篤な合併症は認めなかった. 2日後に施行した造影CTでは, 腫瘍を含んで十分に壊死範囲が形成されていた. 腹壁と腸管に接していたHCCに対して, 人工腹水法を併用することにより安全にRFAを施行できた1例を経験した.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
- 2003-08-25
著者
-
森 一博
大森赤十字病院 消化器科
-
後藤 亨
大森赤十字病院消化器科
-
小川 真実
大森赤十字病院消化器科
-
樹田 康子
大森赤十字病院消化器科
-
古谷 亮
大森赤十字病院消化器科
-
後藤 亨
大森赤十字病院 消化器科
-
後藤 亨
大森赤十字病院 消化器内科
関連論文
- 硝酸イソソルビド・スプレーが有効であったvigorous achalasiaの1症例
- 肝細胞癌RFA治療 : 腫瘍径と根治度の関係
- Helicobacter pylori除菌後に生じたびらん型十二指腸炎の検討
- 経皮的エタノール注入療法の方法およびエタノール注入量と合併症の関係
- 人工腹水注入法併用により安全に経皮的ラジオ波焼灼療法が施行できた肝左葉先端の肝細胞癌の1例
- 胃癌を合併したCronkhite-Canada症候群の1例
- 虚血性心疾患に対する冠動脈インターベンション療法後の上部消化管病変とその予防に関する検討
- 径13cmの巨大肝細胞癌に対してUS-angiographyを組み合わせたrepeated TAE+PEIT療法を行い,著効した1例
- 肝細胞癌の再発に対する炭酸ガス動注造影エコー法(US-angiography)の有用性の検討
- 留置用 PEIT needle を用いた大型肝細胞癌に対する持続PEITの試み
- 経皮的エタノール注入療法において術後発熱および肝障害を引き起こす因子の検討
- 肝細胞癌に対する治療効果評価における超音波映像下血管造影法(US-angiography)の有用性の検討
- 慢性下痢症における消化吸収障害の合理的治療法開発の試み : その動物モデルにおける Bacterial Translocation の意義および対策
- 心血管系疾患の危険因子に対する Helicobacter pylori 除菌治療の影響
- 肝臓がんを見逃さないために--知らなければならない最新の知見,腫瘍マーカー・画像診断の使い分け (特集 内科医のための肝臓・胆道系機能異常の診断と治療--ウイルス肝炎からNASH・肝臓がんまで) -- (肝機能異常への診断アプローチ)
- 注目の新薬 ネクサバール
- 人工腹水注入法併用により安全に経皮的ラジオ波焼灼療法が施行できた肝左葉先端の肝細胞癌の1例
- 多彩な症状を呈したペラグラの1例
- 非アルコール性脂肪性肝疾患に対する ezetimibe の有用性
- A case of eosinophilic peritonitis with giardiasis.