長期間経過を観察した原発性胆汁性肝硬変症の1例 : 検査成績の推移を中心として
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概要
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患者は死亡時53歳の女性.左内眼角の黄色腫で発症し,約8年の経過の後肝不全で死亡した.検査成績では,血清総ビリルビンは長期間0.5〜1.5mg/dlであったが,死亡2年半前頃から徐々に上昇し始めた.血清総コレステロールは初診時318mg/dlから漸減傾向を示し,死亡2年半前頃には200mg/dlとなった.ALPは初診時から10 Bessy単位と高値を持続し,死亡直前急激に低下した.形態学的には2回の針生検では特異的な所見を得られず,剖検肝において肝硬変がほぼ完成されているにもかかわらず種々の段階の胆管病変を認めた.一般にPBCの血液生化学的特徴は病初期に認められ,経過とともにその特徴を失う.従って診断上検査値の解釈には発症からの期間を考慮する必要があり,病態把握には初期の検査値との比較が重要である.形態学的には本例の剖検肝にみる如く病変は一様でなく,一般に行なわれている生検組織像のみによる4期分類は病期判定を誤る危険がある.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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太田 裕彦
東芝病院研究部消化器内科
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太田 裕彦
The Department of Internal Medicine, Mishuku Hospital
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佐藤 源一郎
The First Department of Internal Medicine, University of Tokyo
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佐藤 亮五
The First Department of Internal Medicine, University of Tokyo
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上野 幸久
The First Department of Internal Medicine, University of Tokyo
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