慢性肝炎患者の網内系機能-Kupffer細胞を中心とした考察-
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概要
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慢性肝炎・肝硬変症患者におけるKupffer細胞貪食能をはじめとする網内系機能を中心に抗体産生系を含む間葉系反応促進状態を検討し,(1)これら肝疾患患者においてはRATest陽性者率が高率であり,IgG, IgA, IgM量の増加,麻疹抗体価の上昇が認められ,特に肝硬変患者にて著明である.α<SUB>2</SUB>-Macroglobulin量も同様である.(2)コンドロイチン硫酸鉄コロイド粒子貪食のKupffer細胞をはじめとした網内系機能検査を実施し,肝炎の病態進展にともない,肝硬変症例で最も機能低下を示した.機能低下例にはα<SUB>2</SUB>-Macroglobulin量の増量しているものが多い.Kupffer細胞を中心とした貪食能にEndogenousな成分と門脈由来物質を含むExogenousな成分との間でCompetitiveな関係があると考えられた.これらのことより網内系貪食能低下がこれら肝疾患の免疫機能異常状態,特に間葉系反応促進状態に深い関係をもつものと思われる.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文