アルコール脱水素酵素阻害剤・ピラゾールによる実験的肝障害に関する研究
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概要
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alcohol dehydrogenase(ADH)のinhibitorであるpyrazoleの肝障害性を検討する目的でSprague-Dawley系雄性ラットを用い,pyrazoleの急性及び慢性投与とphenobarbitalによる前処置後のpyrazole投与実験を行い,それらにつきそれぞれ,血液化学検査,肝におけるalcohol代謝と関連するADH,薬物代謝酵素活性を測定した.その結果,pyrazoleの急性投与例ではaniline hydroxylase (AH)活性,肝microsome蛋白の増加,glucose-6-phosphatase (G6Pase), microsomal ethanol oxidizing system (MROS) 活性の低下と血溝triglyceride (TG),血糖の低下,血清glutamate dehydrogenase (GLD), GPT活性の上昇を認めた.pyrazoleの慢性投与例では,AH, aminopyrine demethylase (AD), p-450, G6Pase, MEOS活性の低下,血清TGの低下と血清GPTの上昇傾向を認めた. phenobarbital前処置では急性投与例と比較して肝microsome蛋白,薬物代謝酵素,P-450活性の増加を認めるが,G6Pase,MEOS活性の著明な低下と同時に血清GPT, GLD, bilirubinの有意な上昇を認めた.これらの成績からpyrazoleは肝microsomeを介して肝障害を惹起することが示唆された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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