実験肝癌における血清補体価および補体成分の動態について
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概要
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肝癌における血清補体価上昇の機序を知る目的で経目的に0.0042% (W/V)のdiethylnitrosoamine (DEN)飲料水が78匹のモルモットに投与され,血清補体価,血清と組織中のC4, C3蛋白量および組織内におけるそれらの局在が検索された.さらに14C-アミノ酸のincorporationによるC4, C3の生合成と血清Clq結合活性値を検索した.その結果,血清補体価,補体成分C4,C3蛋白量はDEN投与4ヵ月目以後の発癌期より増量し,肝組織中の補体蛋白量は発癌早期のDEN投与4〜6ヵ月目以後では,癌部が非癌部に比べ高く癌部で補体蛋白量の増加があることが示唆された.さらに,蛍光抗体法による補体成分の検討では,癌部と非癌部のいずれにも認められるが,オートラジオグラムではC4とC3ともにわずかに肝癌部にも認められ産生を示唆しうる所見をえた.また,Clq結合活性値は発癌期,末期でそれら推移に特長的な所見はみられなかった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文