慢性アルコール性肝障害における肝線維化に関する電子顕微鏡的研究
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概要
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慢性アルコール性肝障害患者より採取した肝生検材料のうち,光学顕微鏡的にwiremeshfibrosisとcentral hyaline sclerosisの像を呈した21症例について,肝線維化の形態を明らかにする目的で電子顕微鏡的観察を行った.線維増生はDisse腔および類洞にみられ,内皮細胞は消失し本来の類洞の構造は失われ,この部は膠原線維とcell debrisでみたされ,膠原線維は一部で肝細胞内へ伸展する像もえられた.炎症性細胞浸潤は少なく,類洞内に線維芽細胞が存在したが,脂肪摂取細胞は比較的少数で,線維産生との関係は明らかでなかつた,線維増生のみられるDisse腔に面する肝細胞表面の徴絨毛は平坦化または短小化がみられ,肝細胞内の変化としては小脂肪滴の沈着,lipofuscin顆粒の沈着,糸粒体の変形などを認めたがアルコール硝子体はみられなかった.1例で細胞質内結晶様構造物と,多数例で膜様成分を含む細胞質内封入体が観察された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文