肝硬変症を伴わぬ急性アルコール性肝炎 : (米国例)の臨床,病理学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
肝硬変を伴わぬ急性アルコール性肝炎の米国40症例を対象に臨床,病理学的研究を行った.黒人女性症例が多く,また女性症例は,より若年であった.臨床的に腹痛,発熱,黄疸,著明な肝腫脹,脾踵,腹水等が特徴的で,SGOT上昇は全例に認め,中等度上昇が多く,SGPT上昇は比較的稀,かつ軽度であった.これに比しSLDHと血清総ビリルビンの上昇が多く,かつ高度の症例があった.組織学的にその主病座は小葉中心部で肝細胞の腫大,lytic necrosis,アルコール硝子体,好中球浸潤,肝細胞脂肪化を特徴とした.小葉中心部線維化も特徴的で,約半数の症例に認め,より高度の肝細胞障害を伴い,門脈圧亢進症の発生機転,さらにアルコール性肝硬変への進展機転として重要な所見であった.他に貧血,低カリウム血症を伴い,急性アルコール性肝炎はかなり特徴的な病像を呈するが,時にウイルス性肝炎,外科的黄疸との鑑別が臨床的に問題になった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文