治療に抵抗した抗糸球体基底膜抗体腎炎の2症例
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概要
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抗糸球体基底膜抗体腎炎は他のタイプの急速進行性腎炎に比べて, ステロイドパルス療法, 免疫抑制療法, 血漿交換療法等を併用しても予後が悪く透析治療に移行しやすいといわれている.今回我々は急速に腎機能障害をきたし, 血中抗糸球体基底膜抗体値が陽性となり, 肺病変を伴わない抗糸球体基底膜抗体腎炎を2症例経験した.2症例とも腎生検を行い腎組織は半月体形成性腎炎所見であり, 蛍光抗体検査にて腎糸球体係蹄に沿ってIgGが線状に陽性であった.以上の所見から抗糸球体基底膜抗体腎炎と診断し治療を開始した.1例目はステロイドパルス療法, シクロホスファミドパルス療法を行い, 2症例目はステロイドパルス療法に血漿交換療法を併用した.しかしながらいずれの症例も腎機能の改善は得られず維持透析となっている.抗糸球体基底膜抗体腎炎においては, 治療開始時の臨床所見, 腎組織障害の程度が予後を決定すると考えられた.