肝大量切除後における残存肝細胞ミトコンドリアの動態 : 特にエネルギー代謝とミトコンドリアDNAの複製について
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概要
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ミトコンドリア(以下Mtと略)の呼吸と内膜Mt ATPase活性および肝細胞内アデニンヌクレオチドの経時的変化をダイコクネズミの70%肝切除後の残存肝と単開腹術後の肝を用いて追跡し,肝大量切除後の病態生理をエネルギー代謝面から検討した.またMt DNAの複製過程を〔3H〕チミジンのMt DNAへの取り込みから検討した.Mtの燐酸化能(ATP産生能)と呼吸調節比は残存肝では対照肝より高値を示したが,ATP値とエネルギー充足率は残存肝では対照肝より低値を示した.内膜Mt ATPase活性は残存肝と対照肝で差が認められなかった.残存肝におけるMt DNAは主として開環状型のDNAであろうと推定された.以上の結果より残存肝では消費優勢型の旺盛なエネルギー代謝が行なわれており,主要エネルギー産生分画であるMt自身も肝再生時には分裂増殖するものと考えられた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文