肝疾患例における肝ヘキソキナーゼアイソザイムに関する研究
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概要
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Cellogel膜電気泳動法により,少量の針生検肝組織からヒト肝hexokinaseアイソザイムを分離定量する方法を考案し,急性肝炎3例,慢性肝炎12例,肝硬変症7例,原発性肝癌2例,肝転移の胃癌1例及び対照例4例につき検討を加えた.肝固有のglucokinase (hexokinaseIV)活性は対照例に比して急性肝炎極期,慢性肝炎増悪期,肝硬変症全例の肝および肝癌組織で減弱ないし消失した.Hexokinase IIIは急性肝炎および慢性肝炎増悪期で著明に活性が増加し,急性肝実質障害に反応して上昇するものと考えられた.これに対しhexokinase Iは慢性肝炎から肝硬変症(4〜8倍),さらに肝癌(約15倍)と進行するに従って活性が上昇する傾向がみられ,本アイソザイムが肝炎慢性化の指標となりうる可能性が示唆された.以上の結果から肝hexokinaseアイソザイム・パターンの検討は肝炎,肝硬変各病態の解析に極めて有用であることが結論された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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