東アフリカ・ケニア共和国における主要肝疾患の病理解剖学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
世界的に肝硬変,原発性肝癌の多発地帯である東アフリカ・ケニア共和国のリフトバレー州中央病院に於いて,主要な肝疾患の実態を検索することを目的として1972年6月から1973年4月までの間,病理解剖に従事した.主な肝疾患は肝硬変,原発性肝癌,肝鉄沈着,循環障害性肝病変,急性脂肪肝などであった.肝硬変は自験例67例中4例(5.9%)で,全例が萎縮性肝硬変であり,それらの全てに活動性の肝炎像をみとめた.原発性肝癌は全例が肝細胞癌で自験例中6例(8.9%)にみとめ,その中の2例の肝癌組織内にMalloryのAlcoholic hyaline類似小体出現が著明にみられた.肝における鉄沈着はそれを肝細胞に限ると自験例中17例(25.4%)と高率であり,ケニア国のBantu族にも南アフリカ共和国と同じく肝の鉄沈着が高度であることを見出した.循環障害性肝病変は自験例中6例(8.8%)にみとめ,そのうちの3例は原因不明の心拡張性肥大をみとめた.その他に急性脂肪肝を1例みとめた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文