肝細胞の空胞変性の発生原因に関する研究 : I-空胞変性の実験的作製
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概要
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肝細胞の空胞変性の発生原因を明らかにする目的で,摘出ラット肝潅流実験装置を用いて低酸素負荷を行いつつうっ血を起こさしめ,またin vivoでラットに低酸素ガス吸入,低酸素ガス吸入+肝うっ血,および肝うっ血のみを負荷する実験を行い,空胞変性の発生の有無,程度を検討した.摘出ラット肝およびin vivoにおいて,低酸素負荷と同時に肝にうっ血を起こさしめると,小葉中心帯の肝細胞に極めて高度の空胞変性が起こった.低酸素負荷だけでは空胞変性は極めて軽度であったが,肝うっ血によってかなりの空胞変性が起こった.かかる操作によって生じた空胞の光学的,電顕的所見は人体肝におけるそれと同一であった.以上の実験により,肝細胞の空胞変性はうっ血(類洞圧上昇)と低酸素との複合によって,最も顕著に発現することが明らかになった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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