蛍光抗体法によるB型肝炎抗原陽性細胞の肝内分布像について
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概要
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B型肝炎抗原の慢性肝疾患に対する役割を調べるため,種々の肝疾患における肝内B型肝炎抗原の分布を蛍光抗体直接法にて検索し,以下の結果を得た.<BR>1. B型肝炎抗原陽性細胞の肝内分布像はつぎの4つの型に分類することができる.すなわち,<BR>I. 単細胞型,II. 巣状型,III. 播種型,IV. 小葉型 である.<BR>急性肝炎から慢性肝炎,肝硬変へと進むにつれ,I型からIV型へと示す傾向にある.<BR>2. 細胞レベルでは細胞質に特異蛍光を認め,核は光らなかった.また細胞膜周辺や,封入体様のものが光るのも認められた.<BR>3. 肝内B型肝炎抗原の分布が肝疾患の進展とともに変化してゆくことは,この抗原が肝疾患の進展に重要な役割を果している可能性を示唆するものであり,肝疾患の的確な診断と予後の推測に肝内B型肝炎抗原の検索は重要と考える.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文