腹水再静注による難治性腹水の治療-単純再静注および濃縮再静注法-

スポンサーリンク

概要

論文の詳細を見る
肝硬変に伴う腹水のうち,各種利尿剤やアルブミン製剤など従来から使用されている薬剤に抵抗性を示す,いわゆる難治性腹水の3例に対して,腹水単純静注法と濃縮再静注を実施し,良好な結果を得た.<BR>腹水単純再静注法は採血ビンを用いて急速採取した腹水の全量を濾過網付きの輸血用セットを用いて静注する方法であり,濃縮再静注法は腹水を限外濾過濃縮後に,再静注を実施する方法である.<BR>腹水単純再静注を実施した2例のうち,胆汁性肝硬変の1例は経中2回にわたり腹水を消失せしめるなどの延命効果があった.他の1例は全身水腫をともなう高度の腹水例であったが,本法により腹水を消失せしめ社会復帰した.腹水濃縮再静注の1例は,強い肝細胞壊死,低蛋白血症および全身浮腫をともなう肝硬変症であったが,単純再静注法3回施行後,5回の濃縮再静注により腹水の消失を認め,以後順調に経過した.
社団法人日本肝臓学会の論文

著者

関連論文

スポンサーリンク