リバノール沈澱による低濃度α-フェトプロテインの測定および臨床的研究
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概要
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低濃度α-フェトプロテインの検出法として,リバノール溶液を用いる方法を検討した.α-フェトプロテインは,リバノールと反応して複合体を形成して沈澱する.そのさいの最適リバノール濃度は8.0×10<SUP>-6</SUP>Mで,複合体からα-フェトプロテインを変性を伴わず遊離させるには,2% NaCl燐酸緩衝液が適している.使用血清は0.5mlで,手技も簡単でRIA法と比較して費用,設備,複雑さの点で優れている.また,その検出感度も350mμg/mlまで陽性,600mμg/mlまでは定量的判断が可能である.<BR>本法を用いて,急性肝炎,劇症肝炎,亜急性肝炎,肝硬変,早期の肝癌について血清α-フェトプロテインを測定した.急性肝炎では陽性例はなかったが,肝硬変に合併した早期の肝癌で,従来のSRID法で陰性,本法で陽性を呈し,治療とともにその沈降輪の縮小がみられた.本法は亜急性肝炎,劇症肝炎,肝硬変,早期の肝癌のα-フェトプロテインの測定に,RIA法と同様優れた方法であると思われた.
著者
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大屋 文彦
名古屋大学第2内科学教室
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大屋 敬彦
名古屋大学医学部第二内科 肝臓研究室
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大屋 敬彦
名古屋大学第2内科肝臓研究室
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小山 富嗣
名古屋大学第2内科肝臓研究室
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大屋 文彦
名古屋大学医学部第二内科 肝臓研究室
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