閉塞性黄疸肝における肝線維化について
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概要
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閉塞性黄疸肝における線維化の動態を観察する目的で,総胆管結紮ラット肝スライスを用い,肝コラーゲン画分を,中性塩可溶性,酸可溶性,不溶性画分に分け,また<SUP>14</SUP>C-prolineによる各画分への<SUP>14</SUP>C-hydroxyproline取り込みを測定し同時に肝の一部を用いてhexosamine量を測定した.他に線維化の診断可能性を検討する目的で,血清monoamine oxidase値を測定した.閉塞性黄疸肝コラーゲンhypro.量は総胆管閉塞期間の延長と共に増加し,とくに4週目より急増した.hexosamine量も同様の傾向を示した.各画分別に分けても,いずれの画分も閉塞期間の延長と共に増加したが,不溶性画分の増加の程度が大きかった.代謝回転の速い中性塩可溶性画分の生成活性は胆管閉塞1, 2週で最も高く,線維生成は黄疸初期ですでに活発であることが知られた.血清monoamine oxidase値はコラーゲン生成活性と平行する傾向がみられ,この酵素はコラーゲン量よりもその生成活性を反映する可能性が推定された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文