製鋼ダストからのレアメタルの回収について
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概要
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製鋼ダスト中に微量に含有されているB, GaおよびVを分離・回収するプロセスについて研究した.ダストに含有されているB は3mol/dm<SUP>3</SUP>-NaOHによってその72%が浸出された.不純物の殆どを, pH : 10に調整して水酸化物沈澱とし除去した.グルカミン型キレート樹脂によって選択的に吸着・濃縮し, 4.7g/dm<SUP>3</SUP>のB含有液を得た.この液をEHD (2-ethyl-1, 3-hexanediol) を抽出剤とする溶媒抽出法によって処理し純度99.9%以上のB 溶液を得た.アルカリ浸出残渣を2.25mol/dm<SUP>3</SUP>-H<SUB>2</SUB>SO<SUP>4</SUP>によって再び浸出して0.038g/ dm<SUP>3</SUP>のGaと0.028g/dm<SUP>3</SUP>のVを含有する水溶液を得た。この浸出液中には1000倍量のFeと Znがある.浸出液中のGaとVは, Fe (III) イオンをFe (II) イオンに還元し, さらにpH調整した後, アミノカルボン酸型キレート樹脂を用いて吸着・濃縮した.1.5mol/dm<SUP>3</SUP>-H<SUB>2</SUB>SO<SUP>4</SUP>による溶離液をカラムに再供給して再濃縮し, 3.0mol/dm<SUP>3</SUP>-HClを用いて溶離したところ, Gaは13g/dm<SUP>3</SUP>, Vは8.5g/dm<SUP>3</SUP>の溶液を得た.この液からTOMAC (<I>tri</I>-<I>n</I>-octylmethylammonium chloride), およびD2EHPA (<I>bis</I> (2-ethylhexyl) phosphoric acid) を抽出剤とする溶媒抽出法によってGa, Vを各々の溶液に分離・精製した.純度が各々99%の溶液が得られた.
著者
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坪井 泉
大阪大学基礎工学部化学工学科
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坪井 泉
日本リーバ (株)
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梁 鍾奎
東亜大学校 工科大学 化学工学科
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欅田 栄一
大阪大学 基礎工学部 化学工学科
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駒沢 勲
大阪大学 基礎工学部 化学工学科
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