農業動物におけるベンチマーキング:コンセプトと応用
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概要
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この総説の目的は,養豚を例として,ベンチマーキングのコンセプトと応用を説明することである。養豚では,母豚の繁殖成績,肥育豚の肥育成績,そして財務成績をベンチマーキングすることが推奨されている。ベンチマーキングでは,成績の上位10または25パーセンタイルは目標値として使用されている。また,ベストプラクティス・ベンチマーキングでは,優良農場の測定値が目標値,そして普通農場または全農場の平均値が標準値として使用されている。繁殖農場では,母豚の繁殖成績の中で,年間種付け雌豚当たり離乳子豚数 (PWMFY) が主要な測定値として使用されている。優良農場は,PWMFY の上位10または25パーセンタイルの範囲の農場として選ばれている。PWMFY は,非生産日数,授乳期間,妊娠期間,哺乳中子豚死亡リスク,分娩時生存子豚数,そして一腹当たり離乳子豚数の6つの測定値から構成されている。また補正21日齢総体重は母豚の産乳量の指標でもある。繁殖生産性ではないが,繁殖雌豚の死亡率は,繁殖豚群における群健康と福祉の指標でもある。肥育期は,最も生産コストが発生する時期である。 肥育成績では,平均1日当たり増体量,飼料効率,死亡率が,農場レベル及び群レベルで重要となる。最後に,農場の財務成績を評価することは,企業として成功するためには必須である。総資本利益率,経常利益率,資本回転率という財務成績測定値は,ベンチマーキングとして,同業種または異業種の企業と比較することができる。
著者
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金子 麻衣
School of Agriculture, Meiji University
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佐々木 羊介
School of Agriculture, Meiji University
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纐纈 雄三
School of Agriculture, Meiji University
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市川 大樹
School of Agriculture, Meiji University