MPO-ANCAおよび抗GBM抗体がともに陽性の急速進行性糸球体腎炎の治療経過中に血栓性血小板減少性紫斑病を合併した1例
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概要
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症例は73歳,男性.2008年7月発熱,尿蛋白および尿潜血反応陽性,血清Cr値の上昇(0.9→2.3 mg/dL)を認め当科入院となった.ミ***ペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)が83 EUと高値で,腎生検上pauci-immune型半月体形成性糸球体腎炎の所見を認めたことから,MPO-ANCA関連急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と診断し,methylprednisolone(mPSL)パルス療法後,prednisolone(PSL)の後療法を開始した.その後Cr 1.2 mg/dL,MPO-ANCA<10 EUと改善を認め,以後PSLの維持量内服にて外来通院とした.しかし2010年1月にMPO-ANCA 212 EUと再上昇を認め,4月にはCr 4.5 mg/dLと腎機能障害が急速に進行したため,5月17日に再入院となった.さらに抗糸球体基底膜(GBM)抗体も50 EUと高値を認めたため,mPSLパルス療法およびplasma exchange(PE)療法を施行し,引き続きPSLの後療法を開始した.血清Cr値は6.1 mg/dLと改善をみないため血液透析療法を開始したが,その後両抗体価はともに<10 EUと陰性化した.しかし7月上旬頃より血小板数の減少が持続し,ハプトグロビンの低下および破砕赤血球の出現等を認めたことより,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)と診断.PE療法を再開したが,その後TTPによる臓器障害と思われる膵炎を併発し,多臓器不全にて8月14日に死亡した.ANCAもしくは抗GBM抗体のいずれかが単独陽性のRPGNにTTPを合併した症例報告は散見されるが,両抗体がともに陽性例でTTPを併発したとする報告は非常に少ない.今回,われわれは両抗体陽性のRPGN加療中に,PE療法抵抗性のTTPを併発して致死的経過をたどった1例を経験した.
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