ヒラメより分離されたウイルスの病原性 : ヒラメの病害について―II
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概要
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1984年3月に,兵庫県福良湾で養殖中のヒラメ病魚より分離されたウイルスをRTG-2細胞で1代継代し,ヒラメを供試魚として人工感染試験を実施したところ,以下の結果を得た。1. 10 3TCID50/mlのウイルス液を 1ml腹腔内に接種し,水温10℃で21日間飼育した供試ヒラメでは,10尾中2尾が自然発症魚とほぼ同様の症状を呈してへい死し,接種ウイルスと同様のCPEを示すウイルスの回収が可能であったこと,また接種ウイルスが明かに魚体内で増殖していることから,本分離ウイルスがヒラメに病原性を有することが再確認された。2. 同様にウイルスを腹腔内接種したヒラメを15℃で飼育したところ,へい死は見られず,また生残魚の組織内ウイルス感染価も検出限界(10 2.8TCID50/g)以下であった。このことから,本ウイルス感染によるヒラメのへい死は飼育水温の影響を受けることが実験的にも確かめられた。3. 10 6TCID50/mlのウイルス液を0.1 ml筋肉内接種し,10℃で飼育したヒラメでも5尾中1尾がへい死し,接種ウイルスと同様のCPEを示すウイルスが回収された。4. 1%NaCl加TSA,普通寒天,ユーゴンの各寒天培地を用いたヒラメ供試魚の細菌検査は,全て陰性であった。
- 日本魚病学会の論文
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