自己信託を利用した保険料保管専用口座の実務 : ―コミングリングリスクの回避を目的とした自己信託の活用―
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概要
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最高裁平成15年2月21日判決は,保険料保管専用口座に係る預金債権は損害保険代理店に帰属すると判示した。この結果,同預金債権は損害保険代理店の責任財産を構成し,損害保険代理店が倒産した場合には,損害保険会社は保険料全額を回収できないというコミングリングリスクが生じる。一方,平成19年9月30日に施行された新しい信託法は,「委託者が自ら受託者となる信託」すなわち自己信託を法認し,1年間の凍結期間を経ていよいよ自己信託が解禁された。自己信託にはそのビジネスニーズの一つとして,コミングリングリスク回避のための活用が期待されている。そこで,保険料保管専用口座に係る預金債権に自己信託を設定することによって,損害保険会社に生じうるコミングリングリスクの回避可能性を模索し,その実務上の有効性と課題を検討する。