ヒト胃癌細胞に対して作製したモノクローナル抗体とその抗原解析
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概要
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胃癌における新しい腫瘍マーカーを検索することを目的として,胃癌細胞に対するモノクローナル抗体を作製し,その抗原の性状について免疫学的検索を行った.ヒト胃膠様腺癌白石株を担癌したBALB/c系ヌードマウスの腹腔内に同系健常マウスのT細胞を投与し,腫瘍消退後のヌードマウスの脾細胞とマウス骨髄腫細胞P3X63Ag8.653株とを融合させ,モノクローナル抗体産性ハイブリドーマを作製した.モノクローナル抗体の免疫学的性状は,各種組織の凍結切片および各種培養細胞株を用いて,アビジン・ビオチン複合体を用いた酵素抗体法で解析した.その結果,モノクローナル抗体MKS-1 (IgG1)は,胃癌組織に32例中20例,大腸癌組織に10例中6例反応を示し,癌細胞培養株でも,胃癌,大腸癌,膵癌に反応を示した.他方,正常胃,大腸組織および胎児組織には反応しなかった.さらに, MKS-1が反応する抗原は,免疫ブロット法で検討した結果, 70kDaに相当する分子量を有し,かつ糖鎖が関与していると考えられた.以上の所見から,作製したMKS-1は胃などの消化器癌に比較的特異性が高いと考えられた.
著者
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