癌患者末梢血におけるT, Bリンパ球,単球の同時定量
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概要
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Neuraminidase処理ヒツジ赤血球(En)およびzymosan-C3 complex(ZC)を使用して,癌患者(早期未治療21例,末期治療中16例),非癌患者(35例),健康成人(若年群20例,老年群14例)の末梢血中のT, Bリンパ球,単球の同時定量が行われた.本法ではTリンパ球はEnとrosette形成(En-r)し, Bリンパ球はZCとrosette形成する.また単球はZCを容易に貪食する(ZC-phago)ので,それぞれを区別することができる.癌患者では, Ficoll-Conray法にて分離された単核球中に末梢血塗沫標本中の単球の割合を越えるZC-phagoの著明な増加をみとめた(早期29.0±10.2%,末期38.7±10.3%).それに対してEn-r, ZC-rは減少を示した.また, En, ZC処理を施さない単球中でのperoxidase陽性細胞とZC-phagoの割合は,健康成人ではよく相関した(r=0.91)のに対して,癌患者,非癌患者では,これらの相関係数に低下がみられた(癌患者0.67,非癌患者0.74).ZC-phagoを示す細胞におけるperoxidase染色性を比較してみると,癌患者では早期,末期ともにperoxidase陽性細胞が高率にみられる(62.5±17.7%)のに対して,非癌患者では36.2±11.9%,健康成人若年群は35.0±16.0%,老年群では40.8±8.5%と低値を示した.以上,癌患者末梢血より分離された単核性細胞中でのT, Bリンパ球の割合の低下,単球の著明な増加が示された.さらに単球ではperoxidaseの異常を含む,機能異常のあることが示唆された.
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