炭素繊維の横方向圧縮挙動
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概要
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単繊維の横方向圧縮挙動を簡便に精度よく測定できる装置を試作し,この装置を用いで一連のPAN系およびピッチ系炭素繊維の横方向圧縮挙動を調べた.その結果: 1) 炭素繊維の圧縮変形は直径の10%程度の変位まで可逆的に行われること, 2) PAN系炭素繊維については繊維が圧縮されるにつれて圧縮変形しにくくなるが,ピッチ系炭素繊維では圧縮変形しやすくなること, 3) 横弾性率は結晶配向度が高くなるに伴って低下すること,が確かめられた. 測定された横弾性率と結晶配向度との関係は,繊維断面内でランダム分布している結晶子に均一な応力ないしはひずみが加わると見なした繊維構造モデルでは説明できず,結晶子の集合によって形成される繊維組織に依存して横弾性率が変化することを示唆している. ピッチ系炭素繊維の横方向圧縮破壊強度は,結晶配向度が高くなるに伴って低下した.圧縮破壊した繊維は繊維断面組織に応じて特徴のある破壊片に分割されていることが観察された.
- 日本複合材料学会の論文
著者
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高久 明
東京工業大学工学部
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高久 明
東京工業大学工学部有機材料工学科
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塩谷 正俊
東京工業大学大学院
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早川 栄太
東京工業大学工学部有機材料工学科
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斎藤 徹
東京工業大学工学部有機材料工学科
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塩谷 正俊
東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻有機材料工学講座 有機複合材料分野
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塩谷 正俊
東京工業大学工学部有機材料工学科
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