1健常幼児における身ぶりの発達
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概要
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伝達機能がどのように発達するかを考察する目的で,1健常幼児における伝達機能の発達について,身ぶりの分化を手がかりに分析した.対象児が0歳6ヵ月から1歳6ヵ月までの間,日誌法により10の身ぶりと語彙の発達について記録した.その結果,指さし・首ふり・提示・手ふりは初出が早かったが最初は非伝達的な使用で,段階を追って伝達的に使われるようになった.挙手・首肯・おじぎ・腕のべは初出が遅れたが,最初から伝達的に使用された.手のべ・手招きは観察されなかった.語彙獲得は早かったが,それ以前にいくつかの身ぶりの伝達的使用が始まっていた.これらより,語彙の獲得や身ぶりの伝達的使用が可能になる前に,身ぶりを非伝達的に使い,身ぶりをすること自体を楽しむ段階があると考えた.そして,その段階が伝達機能の基礎を形づくる上で重要であると考察した.