ダウン症児の始語獲得期における認知発達
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概要
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筆者は先行研究(1988)で,正常児を生後8ヵ月から15ヵ月まで縦断的に追い,初期言語発達とUzgiris-Hunt尺度による認知発達との関連をみた.本研究では,ダウン症児2名について同様の検査を行ない,彼らの言語発達と認知発達の特徴をとらえ,正常被験児の結果と比較した.その結果,ダウン症児の始語はMAに比して遅れた.その一方で始語の3ヵ月前に疑似始語がみられた.1名の被験児では初期の語彙の増加は順調だったが,情動機能を示す語が多く,もう1名の被験児は,始語の後,語彙がほとんど増加しなかった.Uzgiris-Hunt尺度の下位尺度のうち動作模倣と音声模倣で2名とも遅れがみられ,言語発達の遅かった被験児では特に音声模倣の発達が遅かった.始語は,すべての下位尺度が正常児の始語期通過段階に達したと同時期に獲得された.以上の結果から,言語指導に必要な内容として以下のことが考えられた.(1)音声の体制化を促すため構音の経験を増やすこと.(2)サイン言語を象徴機能を段階的に育てるものとして体系的に利用すること.(3)概念化の能力をのばすため,分類,見本あわせ,符号化を行なうこと.
著者
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