両側聴神経腫瘍摘出による完全失聴者のコミュニケーション再確立の経過
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概要
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両側聴神経腫瘍摘出による完全失聴者への援助の体制における,術前の指導の状況を明らかにした.次に,術後の混乱した状態で来所した事例への指導を通して,以下のことが明らかになった.(1)指導者が互いのコミュニケーション可能な共通手段(筆談)を用いてコミュニケーションを積み重ねていくと,本事例は情報入手ストラテジーを獲得していった.(2)自ら問題整理が始まり,必要な情報を求めてくるようになった.求めに応じて情報を提供していくと,本ケース自ら行動して,可能な行動項目の中から,自身にとって最適と思われる選択肢を選んでいった.(3)受障前の活動内容とは異なるが,活動の種類も増え,自身納得のいく生活を楽しむようになった.(4)(1)のコミュニケーション成就体験が,(2),(3)の展開の原動力となったと考察した.