指示に対して拒否的であった発達障害児に対する非言語的やりとり行動の形成
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概要
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指示に対して拒否的傾向のある発達障害児2症例に,情動リズムや活動-停止サイクルの相互交替,相互主体性に留意したやりとり遊びを指導し,非言語的やりとり行動を形成した.その結果,やりとりが形成されていく過程の共通した特徴として,(1)緊張と弛緩の情動リズムが相手と合い始める,(2)自己の身体感覚と他者の動きに意識を集中でき,相手の指示に合わせて活動できるようになり,そして,その結果を相手に確かめるようになる,(3)相手の活動を迎えて,返し行動がとれるようになる,(4)自己コントロールされた動きと相手との協調動作がより高次化する,の4つの段階が認められた.これらのやりとり行動の改善は,日常の全般的コミュニケーション行動の中で,他者からの働きかけに対する受け入れのよさの変化と最も大きく一致しており,その関連性が示唆された.2名の症例に非言語的やりとり行動を形成したことは,彼らの相互的なコミュニケーションの改善に役立ったものと考えられた.