聴性脳幹反応とその他覚的聴力測定への応用*
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的:頭皮上より導出されるピーク潜伏時間5〜8msecの陽性波(聴性脳幹反応と仮称)を他覚的聴力測定への応用という見地から検討するのが本研究の目的である.方法:刺激音としてクリックを使用し,毎秒8回の頻度で,スピーカを通して被検者にきかせた,最高出力は80dB(HL)である.反応は頭頂部耳垂におかれた電極より前置増編器,フイルタ 増幅器を介してコンピュタに導かれ,原則として2000回加算され,XYレコーダで記録された.被検者として覚醒時正常成人9名,7〜17か月の睡眠時正常幼児3名と5才の正常幼児1名とを使用した.結果:1)反応波形は刺激後5〜8msecに頂点を持つ陽性波であるが,その途中にいくつかの連続した陽性波を示す型,単峰性陽性変動を示す型,丘状陽性変動を承す型,およびそれらの中間型が認められた.2)反応のピーク潜伏時間は刺激音強度および被検者の年令により左右され,80dBの刺激で成人の平均値は5.Slmsec,7〜17か月の幼児の平均値は6.85msecであつた.3)反応の振幅も刺激音強度および被検者の年令により差異があり,80dBで成入の平均値0.98μV,幼児0.69μVであつた.4)反応域値は成人で5〜20dB,幼児では7か月児を除き25〜30dBであつた.本反応は他覚的聴力測定の指標として利用しうるとともに中枢性聴覚障害や脳幹疾患の細別診断にも役立ちうるものと考えた.
著者
関連論文
- 聴性脳幹反応の自動判定に関する基礎的観察
- 幼児睡眠時の聴性脳幹反応の恒常性について
- 聴性脳幹反応とその他覚的聴力測定への応用*
- 耳科領域より見た幼児の聴力と言語の問題
- ヒトの聴神経活動電位
- AUDIOLOGY