非共同性眼球運動麻痺2症例からみ左冷温交互温度眼振
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概要
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〔緒言〕視性眼反射と前庭限反射の2つの系は,III神経核,MLF,網様体など共通路を形成して密接な関連のあることが知られている.眼運動系の検索に際して,例へばOKNやETTなど近年盛んに利用され中枢疾患に対する診断面での役割も大きい.いかし,前庭眠反射としての温度眼振からも,いわゆるCP,DPの他に眼運動系に関する情報を得ることが出来,むしろ視運動系検査に較べて,被験者の意志,注視機能,眼球振盪野などの関与が少いだけに,より単純化されたものとして眼運動系な観察し得るのではないかと考える.このよ5な見地から,非共同性眼球運動麻痺の疲例について冷温交互試験を中心に神経耳科学的検討を行った.〔症例〕症例1:左側MLF症候群.OKNと温度眠振の出現パターソに類似性が認められ,共通路としてのMLF障害によるものと考察した.症例2:Wernickes encephalopathy.OKNは全く解発されないにもかかわらず,温度眼振は単眼性に誘発された.冷刺激,温刺激の際に,眼振は左眼,右眼において,緩徐相方向が内転の時にのみ単眼性に障害され,一方,そのJC対眼には良好な眼振が出現した.主にMLF障害によるものと考察した.〔結論〕とくに温刺激では反対眼における緩徐相としての外転運動をも観察綴来る利点があり,ENGによる単眼性眼球運動説録下に冷温交互試験を行うことの意義を確認し,障害部位の診断に重要なことを述べた.