掻爬気管粘膜の再生に関する病理組織学的研究補遺:特に電子顕微鏡的観察
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概要
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耳鼻咽喉科並びに気管食道科領域の疾患は,粘膜を主とする管腔内のものであり,その処置,手術においては病的粘膜を掻爬あるいは剥離除去する方式がとられ,その後新生粘膜の再生修復を主目的とするものである.従つて順調に粘膜の再生をうながすべく術後の処置ならびに薬物療法に努力するのである.臨床面においてこの粘膜上皮の再生は極めて重要な課題であるにもかかわらず,これに関する報告,文献は少く,殊に気管の如き深都損傷時におげる電顕的観察は少い.そこで著者は気道,殊に気管粘膜の再生過程について詳細に電顕的観察を加えるべく実験を行い,さらに個々の問題として,掻爬気管粘膜再生上皮の,形態的推移の経時的観察から,未だ明らかになつていない基底膜の再生,基底細胞の再生,基底細胞から線毛細胞,杯細胞,刷子細胞への分化移行,線毛の発生過程,発生時期,これら諸細胞の再生過程における細胞内小器官の動態の観察等を始め,再生過程における増生,異型化の諸問題につき究明したいと考えた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文