Rise time courseによる眼振列の動揺の分析
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概要
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この研究は前庭性眼振の全体的および部分的動揺をrise time courseから,その機序について解明しようと企てたものである.猫がフローセンで麻酔され,水平半規管脚部の骨壁に小窓が耳内法によつて開窓された.眼球が除去され,鞏膜とともに両側の外直筋がRCA-5734ストレインゲージ•チューブに結び付けられた.高位脊髄切断をされ,フローセン麻酔が中断された.前庭刺激は圧迫によった.反応はAmpex SR-300 tape recorderに記録され,あとでオッシロベーバに転記された.筋収縮におけるrise timeと前部であるhalf rise time(1)と後部であるhalf rise time (2)のtime courseが眼振の緩徐相と急速相において計測された.眼振列が便宜上,3期に分けられた,第1期は slow rise timeが延長しないときで,第2期はslow rise timeが漸次,延長しているときで,第3期はphase lagが消失したときである.さらに第2期をslowとfast rise time courseの変化よりA,B,Cの3部に分けた.全体的にslow half rise time (2)の変化はconstantに延長する.slow half rise time(1)の変化は強い動揺を示した,すなわち,第1期と第2A,B期においてslow half rise time(2)はslow rise timeのconstantな変化に関与し,slow half rise time(1)は部分的な変動に関与する.しかしながら,第2C期において.slow half rise time (2)はslow rise timeの部分的な動揺に関係し,第3期になるとslow half rise time(1)と(2)はともに,slow rise timeの部分的な動揺に関与する,他方fast half rise zime(2)は第1期と第2期においてfast rise timeの延長に関係し,fast rise time(1)は部分的な動搖に関係し,延長を示さない.第3期では両方のfast half rise timeは部分的な動揺に開与してくる.この事実よりrise time courseにおける全体的な動揺はtonic activityによるものであり,部分的な動揺はkinetic activityをくよるものであると結論した.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
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山中 泰輝
奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
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Bach-y-Rita Paul
Smith-Kettewell Institute of Visual Sciences University of the Pacific Graduate School of Medical Sciences
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