鼻咽腔炎における血行動態の研究
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概要
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目的:鼻咽腔炎と自律神経系との関連については,我々の教室で幾多の報告がなされており,鼻咽腔炎と指尖容積脈波との関係はすでに報告されている.しかし今回著者は更に太い血管(浅側頭動脈)での変化を知る目的と,更に指尖容積脈波および浅側頭動脈々波を測定し,その基線の変化ならびに振巾の時間的変動より,鼻咽腔炎患者における血管運動中枢を含む自律神経系の調節機構の破綻を解明しようとしたものである。実験法:両手指第III指に指尖容積脈波,浅側頭動脈上に反射光電式容積脈波を置き,両者を同時に描記させ,鼻咽腔刺激前後の脈波を基線の変化,振巾の時間的変動を測定した.また鼻咽腔刺激前後の血圧の変動も合せて測定した.結論:1) 正常者の振巾変動時間は30秒以内で刺激前の状態に戻る.2) 鼻咽腔炎患者の刺激後振巾変動時間は指尖容積脈波,浅側頭動脈々波ともに延長する.その振巾の回復過程より,両者ともに4型に分類出来るが,両者の間に有意な関連は認められない.3) 鼻咽腔炎の消褪とともに振巾時間の短縮が認められ,振巾変動の型も正常のものに類似していく.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文