内喉頭筋移殖後の声帯機能
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概要
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目的:喉頭移殖後における声帯の十分な機能の回復をうるために,内喉頭筋を正常な神経を伴つたまま自家移殖することによる声帯の機能の回復状態を観察することである.実験方法:この実験には4匹の犬のいつれも右側における前筋および後筋が用いられた.これらの筋肉はそれぞれの神経を伴つて起始部,付着部から十分余裕をもつて切断,摘出された後,再びもとの位置にもどされ,3-O Chromic gutによつて各筋肉の旧位置のところに縫合された.観察方法としては声帯の呼吸運動に伴う動きが1秒間18コマのMovie filmに記録され,また同時に両側後筋に刺入された84Micronの銅線による直接の刺激によつて引きおこされる声帯の外転運動が64コマのHigh Speed Movie filmに刺激と同期したFlash cubeによる照明下に記録された.加うるに,両側それぞれの刺激閾億が測定された.実験結果:術後3〜4週間羅に4匹の実験動物のうち3匹に呼吸運動に伴う声帯の動きが出現したが,とくにそのうちの1匹は非常に良好な結果を示し,術後2ヵ月目には声帯の呼気時における伸張の度合やまた吸気時における外転の度合は正常側声帯のそれとほとんど差異を認めなくなり,さらに,後筋刺激による声帯の外転運動についても全く左右差を認めなくなつた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文