本邦人胎児聴器骨化過程の超軟X線およびAlizarin red骨染色による観察
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概要
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目的オトマイクロサージャリーの進歩により奇形耳の聴力改善が可能となつたが,手術の適応決定,手術方法の選択にあたり胎生学的知識が要求される.聴器発生の組織形態発的研究は多いが,著者は聴器発生,特に聴器骨化過程をX線学的に観察した.方法使用X線装置はSoftexCMB型を用いた.材料は本邦健康妊婦より娠妊中絶によつてえられた胎生4ヶ月より10ヶ月までの胎児30胎を用いた.10%ホルマリン固定後.頭部を正中半截して,4方向よりX線撮影を行なつた.その後側頭部を剔出しAlizarin redによる骨染色をほどこし,ついでotomicro-scope下に局所解剖しX線像と比較検討した.成績1) 本邦人胎児聴器骨化は,胎生4ヶ月はじめにおいて,Tympanic ringおよびツチ骨前突起に認められた.2) ツチ骨前突起は,骨化過程から耳小骨の他の部分とことなり,むしろTympanic ringと同類であると考えられた.そして胎生期のツチ骨前突起は成人のそれに比し大きかつた.3) 三耳小骨は,ツチ骨前突起をのぞいて胎生4ヶ月はじめには軟骨性であつた.胎生5ヶ月はじめにツチ骨,キヌタ骨の骨化がはじまり,胎生5ヶ月末にはアブミ骨にも骨化がはじまっていた.4) キヌタ•アブミ関節部の骨化は最もおくれ,胎生7ヶ月にいたつていた.顔面神経管水平部鼓室側の骨化はキヌタ•アブミ開節部の骨化と期を一にした.5) Otic capsule,耳小骨は,ツチ骨前突起をのぞき,骨化がはじまつた時点においてすでに成入の大きさに達していた.
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